医療用医薬品添付文書中の薬物代謝酵素情報(P450)をベースにした
薬物間相互作用チェック支援システムの構築

(有)メディファーム代表取締役 薬剤師 小川雅教先生
NTT東日本関東病院 薬剤部長 東京大学医学部付属病院客員研究員 折井孝男先生
日本医科大学千葉北総病院薬剤科 浜田康次先生
東邦大学薬学部助教授 医薬品情報学教室 山村重雄先生
ネオフィスト研究所 所長 吉岡ゆうこ先生
東日本メディコム梶@野本 禎

【はじめに】
・利用している添付文書データベース:
 (財)MEDIS が提供する医薬品データベース(JAMES) 
・医療用医薬品添付文書においてcytochromeP450(CYP)に関する情報は以下  のように増加している。


相互作用の段落中にCYPに関する記述がある品目数とその割合

禁忌
注意
禁忌CYP
割合
注意CYP
割合
CYP計
2004年
1月
2503
8779
11282
716
29%
647
7%
1363
12%

2005年
4月

2837
8941
11778
1006
35%
847
9%
1853
16%
2005年
9月
2974
9149
12123
1100
37%
897
10%
1997
16%


【添付文書事例】
 CYP3A4に着目して
 以下の品目相互作用段落を検討してみます。



   ・シンバスタチン  リポバス錠 (高脂血症
   ・ロラタジン     クラリチン錠(アレルギー性鼻炎)
   ・ジョサマイシン  ジョサマイシン錠(ブドウ球菌属,レンサ球菌属 )



■ シンバスタチン(リポバス)の添付文書

       




■ ロラタジン(クラリチン)の添付文書

        




■ ジョサマイシンの添付文書

             


3品目併用の場合、
段落中に相手薬が明示されていないので、 既存システムでは、何もひっかからない

参考

重大な副作用

リポバス  横紋筋融解症,ミオパシー,肝機能障害,末しょう神経障害
クラリチン  ショック,てんかん,肝機能障害
ジョサマイシン  血便を伴う重篤な大腸炎





【当研究の目的】

  添付文書データベースからCYPに関する情報を抽出

          ↓

  薬品とCYP種との関与関係表とする

          ↓

  CYPに起因する相互作用を推測する
  支援システムの構築



【作成方法】

システムツール + 人力


 

CYP関与の種類による組み合わせ(16通り)

       



注意点

 添付文書情報を根拠とした可能性の推定であり、メーカーが明示的に提示するものではない、
 かつ否定するものでもない。

 現場薬剤師の判断にゆだねられる

 臨床データの裏づけが欲しいところであるが、
今後の研究に依存する


考察

・意義

 薬剤師として知っておいた方が良い情報として薬剤師を支援する。

 電子薬歴、電子カルテの内部で、薬剤師への情報提供ツールとして利用することが可能。

 患者に起こりうる、副作用の早期発見